Pronunciation
/r/ と /l/ の違いと直し方
right と light、rice と lice。日本語のラ行はどちらにも当たらないので、両方が同じ「ラ」に寄ります。機能負荷が最も高い対立で、日本語話者の通じなさの代表です。舌先をつけるかつけないかの差と、耳から始める理由をまとめました。
最終更新
right と light、rice と lice、road と load。この2つを取り違えると、別の単語になります。機能負荷(単語の区別への効き方)で測ると、この対立は英語のトップクラスに入ります。日本語話者の通じなさの代表がここです。
先に言っておくと、口の形を覚える前に、耳で分けられるようにするほうが速いです。日本語話者に聞き分けの訓練だけを課し、発音練習をいっさいさせなかった実験で、/r/ と /l/ の産出までネイティブ評価で改善しました(Bradlow et al. 1997)。
何がどう聞こえているか
日本語のラ行は、舌先で歯ぐきを軽く弾く音です。英語の /r/ と /l/ はどちらも日本語のラ行とは別の音で、区別されずにラ行として受け取られてしまいます。その結果、rice と lice が同じ「ライス」に聞こえます。
| 語頭 | 語中 | 語末 |
|---|---|---|
| right ↔ light | arrive ↔ alive | car, four, more(/r/) |
| rock ↔ lock | correct ↔ collect | call, feel, milk(/l/) |
| rate ↔ late | berry ↔ belly | — |
まず耳で分ける
2つを並べて聞き、どちらかを当てる練習から始めます。7割くらい当たるようになったら、発音の練習に進んでください。まだ迷うなら、無理に発音せず聞き分けを続けるほうが効果的です。
ひとつ条件があります。声は複数用意してください。1人の話者だけで練習すると、その声でしか区別できるようになりません。複数話者で訓練したほうが、新しい声にも効きます(Uchihara et al. 2025)。
/r/ の出し方
舌先をどこにも触れさせないのが /r/ です。舌全体を口の奥へ少し引き、軽く丸めるか、そらせます。「ウ」を言う直前のように唇をすこし丸めると近づきます。
やりがちな失敗は、日本語のラ行のように舌先で歯ぐきを弾いてしまうことです。弾くと /r/ ではなく /d/ に近い音が出ます。舌はどこにも当てません。
/l/ の出し方
舌先を上の前歯のすぐ後ろ(歯ぐき)にしっかり当て、その脇から声を流します。当てたまま「ウー」と言うと、call や milk の語末に出る暗い l の音です。
こちらの失敗は、当てずに弾いてしまうことです。一瞬触れて離すと、ラ行や /r/ に近い音が出ます。当て続けてください。
覚え方としては、舌先を「つける」のが /l/、「つけない」のが /r/。この一点が、聞き分けと発音の両方の手がかりになります。
語のどこにあるかで、難しさが変わる
語頭で区別できるようになっても、それだけでは語中や子音の連続には効きません。日本語話者に語頭の /r/ と /l/ の識別を訓練した実験では、改善したのは語頭だけで、語中やクラスターの中には転移しませんでした(Logan, Lively & Pisoni 1991)。
練習も語頭から始めて、慣れたら語中、語末へ広げます。位置ごとに別の練習だと思ってください。
自分の音を確かめる
自分では区別しているつもりでも、録って聞くと同じ音になっていることがよくあります。単語を録音して、お手本と並べて聞く。それだけでも気づきは生まれますが、確実なのは、どの音がどう外れたかを返してもらうことです。日本語話者の /ɹ/ の実験で改善したのは、調音の指導に修正フィードバックを足した群だけでした(Saito & Lyster 2012)。
ShadoRep は録音を音素単位で採点するので、r が何点で落ちたかまで出ます。/r/ と /l/ の聞き分けドリルも別枠で入れてあります。
よくある質問
- r と l は、どちらから練習すればいいですか
- 対にして同時にやってください。目的は2つを区別することなので、片方だけ練習しても区別はつきません。聞き分けも発音も、ペアで比べるほうが速く進みます。
- 巻き舌にすればいいのですか
- 違います。スペイン語やイタリア語のように舌を震わせる音ではありません。英語の /r/ は、舌をどこにも触れさせずに奥へ引く音です。震わせると別の音になります。
- 語末の r は発音しますか
- アメリカ英語では car や four の r で舌を引きます。イギリス英語では母音に溶けて、ほとんど聞こえません。どちらでも通じるので、練習している教材の発音に合わせてください。
- どのくらいで聞き分けられるようになりますか
- 数週間の訓練で変わります。79研究のメタ分析では、聞き分け訓練の効果量は g=0.92 で、効果は数か月保たれ、訓練に出てこなかった話者の声にも般化しました(Uchihara et al. 2025)。
参考文献
- Bradlow, A. R., Pisoni, D. B., Akahane-Yamada, R., & Tohkura, Y. (1997). Training Japanese listeners to identify English /r/ and /l/: IV. JASA, 101(4).
- Logan, J. S., Lively, S. E., & Pisoni, D. B. (1991). Training Japanese listeners to identify English /r/ and /l/: A first report. JASA, 89(2).
- Uchihara, T., Karas, M., & Thomson, R. I. (2025). High variability phonetic training (HVPT): A meta-analysis of L2 perceptual training studies. SSLA, 47(3).
- Saito, K., & Lyster, R. (2012). Effects of Form-Focused Instruction and Corrective Feedback on L2 Pronunciation Development of /ɹ/ by Japanese Learners of English. Language Learning, 62(2).
出典の全体像は日本人が苦手な英語の音と、直す順番にまとめています。